早川金属工業研究所「200型」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその1 > 早川金属工業研究所「200型」修復記

修理を依頼された、早川金属工業研究所(SHARP)の「200型」 の修復をして見ました。


修復前の様子。大変状態が良いのには驚かされる。昭和15年前後に流行ったエアプレーンダイアル搭載の、小型3球受信機である。使用真空管は、UY−24B(再生検波)、3Y−P1(電力増幅)、KX−12B(整流)であるが、オリジナルは出力管がUY−47Bであった様だ。出力管が交換されているという事は、整流管は大丈夫なのだろうか?


修復前の裏面の様子。裏蓋もベークライト製である。丸いシャープの銘板が貼ってある。


修復前のシャーシー内部の様子。真空管が触れ合う程、密度が高い。再生検波管のUY−24Bは、高さ制限からソケットが2cm程度シャーシー下側に取り付けられているので、真空管を引き抜く時にガラス部分を持って引っ張らなくてはならないので、ベース部分が外れないかと冷や冷やものである。


修復前のシャーシー上部の様子。埃もさほどではなく、錆も無く保存状態は良好である。またラッキーな事に、マグネチックスピーカーのコイルも断線していない。


修復前のシャーシー内部の様子。2個の電源平滑用の電解(ペーパー?)コンデンサーが破裂しそうな程膨張している。戦前のコンデンサーの品質不良時代にはよくあった現象らしい。


シャーシー前面は、何とマグネチックスピーカーの前面にダイアル目盛りが付いており、左側の再生調整ツマミは、スピーカーのコーン紙に丸い穴が開いている所から出ている。何とも不思議な設計である。そこまでしなくても・・・。左側面の電源スイッチは、接触が悪かったので分解清掃して、接触も良好になった。絶縁試験も良好である。


ベークのキャビネットは、丸洗いして綺麗になりました。サランネットは依頼主の希望により、そのままとしました。


修復が完成したシャーシー内部の様子。すべてのコンデンサーと抵抗を交換しました。配線は依頼主の希望により、古い雰囲気を出すためにそのままとしました。電源コードやプラグも絶縁試験を実施し、そのまま使用する事としました。


修復が完成した所。小型並三であるが、そこそこの音量で鳴ってくれる。戦前のラジオなので、ダイアル目盛りは0〜100までで、0の方が周波数が高くなる方向であり、戦後のラジオとは逆です。状態が良いラジオなんで、是非とも大切にお使いください!

以上、ここまでの修復作業時間は約8時間でした。

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