SUPER-SIX修復記


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<211番のラジオの修復内容詳細>

1.修復前の様子。(写真1)なんと大変貴重な、戦前の古典型スーパーラジオである。いつもお世話になっているばざーらさんからの修理依頼品である。使用真空管は、UV−199が6本である。おそらく米国製であろうが、メーカーの記載された銘板などは見あたらない。回路は、田口達也氏著書のヴィンテージラヂオ物語の80ページにRCA社のラジオラの回路が記載されているので参考にさせて頂いた。

2.修復前の内部様子。(写真2)上の蓋が開く仕組みである。戦前のスーパーラジオは初めて見るのである。汚れも少なく、状態は非常に良い様だ。超、貴重品である!!!電源は電池から供給されるラジオである。バリコンは2連ではなく、同調と局部発振をそれぞれ別個に調整する仕組みである。

3.こちらはAF回路部分である。(写真3)上部に2つ四角く見えるのは、段間低周波トランスであろうか?

4.こちらはRF回路部分である。(写真4)上部に3つ丸く見えるのは、IFTであろうか?

5.前面パネルには、SUPER−SIXと記載があるが、メーカーなどの記載はない。(写真5)PULLと書かれたツマミが電源スイッチである。下の2つのツマミは音量調整とフィラメントの電圧調整である。

6.サイモントロン、UV−199という真空管が6本使われている。(写真6)これだけでも超、貴重品である・・・!

7.木製のキャビネットから出したところ。古典ラジオ特有の、まな板配線である。(写真7)電源はA電源+4.5V、B電源+90Vと+45V、C電源−4.5Vであるらしい。

8.こちらはAF帯域の、段間トランスである。(写真8)2段分が一緒になっている。幸いな事に断線はない。

9.こちらはRF帯域の、中間周波トランスと、カップリングトランスである。(写真9)中間周波数は、なんと50KHzらしい・・・。測定してみると、確かにその周波数近傍で同調している。調整箇所も無く、IFTは2段共断線は無いが、残念ながら初段のカップリングトランスは1次側の巻線が断線している。ここで回路図を描いてみました。

10.こちらは局部発振と、受信周波数を混合するらしい、RF帯域のトランスである。(写真10)こちらは断線もなく、試験もOKであった。

11.こちらが局部発振のコイルである(写真11)。2つのコイルを近くに配置して結合しているらしい。当初は局部発振が発振せずに悩みましたが、配線が一部半田不良で導通不良で、直したら発振する様になりましたが、発振周波数範囲がイマイチです。

12.断線していた初段のカップリングトランスを分解してみたが、内部はタールで固められており、様子をうかがう事は出来ない。(写真12)さてさて規格も解らず、困った。故障の原因はここであるのだが・・・。

13.まず、電源ユニットを作製しました。(写真13)A,B,C電源それぞれの電池を用意する事にしました。A電源は単一乾電池3本、B電源は006P乾電池10本、C電源は単三乾電池3本を用意しなければなりません。なんとも贅沢な!!!

14.断線していたカップリングトランスのタールを地道に取り除き、コイルを取り出したところ。(写真14)結構な巻数でおまけにハニカム巻で、巻き直すのが大変です。このコイルを取り出すだけで、半日も掛かってしまいました・・・。まだまだ先は長そうです!

15.初段のカップリング・トランスの、コイルの巻き直しが完了したところ。(写真15)ボビンは、100円ショップでビーズを通す糸を巻いてある物を利用しました。(これを捜すのに、大変苦労しました・・・!まさかラジオの修理でこんな物を使うとは・・・。)以前のコイルの特性が解らないので、コイルの大きさと線の太さで推測するしか無いのでちょっと不安ですが、感度は悪くても動作はする事でしょう!

16.修復が完成したところ。(写真16)ほとんどオリジナルに見えますが、右端にループアンテナの代わりにアンテナコイルを追加し、アンテナ線を外に引き出しておきました。コイルを巻き直したカップリング・トランスは元のケースに入れてますので、外からは解りません。

17.修復が完了したところ(写真17)感度も現在の物と比べると良くないし、あまり大きな音は出ませんが、貴重な戦前のスーパーラジオが復活しました。いや〜、苦労しましたよ!てな訳で、現在はお店で販売中?

パソコン版の詳細な修復内容はこちらです。(PC版なので、携帯からは重たいです!注意!)

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