5球スーパー受信機の感度を上げよう


(続)真空管ラジオ修復記 > 5球スーパー受信機の感度を上げよう



 このコラムは、故人である内田秀男様の電波科学1954年11月号の記事を参考に記載しておきます。(故)内田秀男様は、NHK放送技術研究所にお勤めで、数々の業績を残されました。マジックアイ6R−E13の基礎を発明したのも故人です。現在秋葉原ラジオセンター内田ラジオアマチュアショールームは、内田久子夫人が故人の遺志を継ぎ、開いている秋葉原でも数少ない真空管ラジオの専門店です。ここでこの記事のコピーが2〜300円程度で販売されています。ここでは著作権の問題から、記事をすべて記載できませんが、要点だけ紹介し後はお店で記事のコピーを購入して頂く様、お願いします。故人の業績を称え、またこのお店が今後とも末永く繁栄してゆきます事を、祈念して・・・。「秋葉原内田ラジオでございます。」もご覧ください!

記事の項目に従って、順番に紹介してゆきます。

1.アンテナコイルは高インピーダンス型がよい
 アンテナコイルのQは90〜100以上、発振コイルのQは50〜70以上が良く、防湿処理されて引出線端子の丈夫な物が良いと書かれています。

2.構造のよい二連バリコンを使う
 双方の容量偏差が少なく、ローター側には接触の良いアース金具が付いており、ローター極板とステーター極板の間隔が均一な物が良いと書かれています。

3.設計のよいIFTを使う
 μ同調、C同調いずれも指定された真空管との組み合わせで、安定で大きな利得が得られ、コイルボビンが取り付いている端子板がシャーシーに取り付けた時に、ガタがなく同調容量の小さいIFTが良いと書かれています。

4.性能のよい真空管を使う
 同じ型番の真空管でも性能に差があるので、買うときは相互コンダクタンスgmをチェックする様に書かれています。

5.能率のよいスピーカーを使う
 同じ様なスピーカーでも、設計の善し悪しで低周波1段増幅分くらいに相当します。マグネットの力が強く、マグネチックスピーカーはコイルの巻数が多い物が良いと書かれています。

6.部分品の配置に無理しないこと

 特にmT管のセットは小型化されていますので、高周波コイルは実効Qが低下しないように、他の強磁性金属部分からは、コイルの直径以上離すと書かれています。

7.アース側の配線を省略しないこと

 シャーシーに電流を流さず、必ずアース母線を張って、最短距離でアースの配線をする様に書かれています。

8.二極管検波の負荷抵抗は500KΩ〜1MΩがよい
 プレート検波とか、無限インピーダンス検波の場合は問題ないのですが、グリット検波とか鉱石検波または5球スーパーの二極管検波では、検波器の負荷抵抗が、検波器側のIFTの二次側同調回路に検波器と一緒に並列に入ってきますから、負荷抵抗の値を大きくしないと同調回路のインピーダンスが低下し、感度が悪くなると書かれています。

9.AVC回路の直列抵抗は3MΩ〜5MΩがよい
 AVC回路の直列抵抗は、従来一般に1MΩが使われていますが、これは検波器の負荷抵抗と次のグリットリーク抵抗、結合コンデンサーなどの等価インピーダンスの約10倍以上を使うと、感度は約10db(3倍)良くなると書かれています。

10.パディングコンデンサーは可変型がよい
 局部発振のパディングコンデンサーは、正確に単一調整が出来る様に、可変型が良いと書かれています。

11.動作電圧を正常にかける
 真空管のB電圧は、−30%程度まではさほど影響しないので、真空管の寿命を延ばす為に少し低めが良いと書かれています。またヒーター電圧は規格通りが良いと書かれています。

12.正確にIFTの調整をする
 市販のIFTは、大体455KHz付近に調整されているので、配線しただけで働く様に作られていますが、テストオシレーターを使って正確に調整すると、更に感度の向上が期待出来ると書かれています。

13.テストオシレーターを使わない高周波回路の単一調整
 テストオシレーター無しで単一調整する方法として、600KHz付近の放送局を受信して、ダイアル目盛りに一致する様に局部発振回路に直列のパディングコンデンサーを調整し、次に1400KHz付近の放送を受信して、ダイアル目盛りに一致する様に局部発振回路に並列のパディングコンデンサー(バリコンのトリマ)を調整すると書かれています。

14.ピーピー発振するときは
 部分品の配線、動作状態にまずい点が無い場合は、中間周波増幅管のシールド不完全、低周波増幅回路に中間周波信号が誘起している、アンテナ端子までのリード線が長すぎるなどが原因であると書かれています。

15.雑音が多いときは
 感度をよくしすぎると雑音が耳障りになるので、アンテナ端子とアース端子をショートしてみて雑音が止まらない場合は受信機の内部が原因であると書かれています。


 以上、概略ですが記事の要点をまとめてみました。どれも基本的であたりまえな事ですが大切な事ですね。

記事の内容にご興味を持たれた方は、是非ともお店でコピーを1部ご購入ください!この他にも、お店では貴重な資料等が多数販売されています。そのうち紹介したいと思います。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

inserted by FC2 system