真空管ラジオとオークション


(続)真空管ラジオ修復記 > 真空管ラジオとオークション

 1999年秋にヤフーのオークションが日本でも始まって、今年2015年で16年が経過しました。アンティークラジオのカテゴリーでは、最近では常時約1,500点以上の出品があります。ところで現存する真空管ラジオの数は、絶対に増えはしないでしょうから、何時かは必ず底をつきます。では、何時まで真空管ラジオは(適価で)買えるのでしょうか?「日本の古いラジオ」に、真空管ラジオの残存数の見積もりが有ります。また、「真空管ラジオの小部屋」の近況にも、オークションについての記載があります。いずれにせよ、残存する真空管ラジオの数は今後は減る一方で、コレクターの方々への集積が進む今、オークションでも価格が高騰しています。僕がオークションで真空管ラジオを集め出した2001年では、mT管のトランスレスラジオで1,000円〜2,000円台で落札出来たラジオが、今ではその5〜10倍程度の価格で取引されています。それに比べ、もっと貴重な戦前のラジオの取引価格は以前のせいぜい2倍程度で終了する事が多い様です。(価格とすれば、mTレスラジオと同じ様な価格の事が多いです)僕のところに修理に来たラジオも、mT管トランスレスラジオの台数が一番多いので、人気の度合いが解ります。ちなみに落札実績は、こちらです。この意味する事を推察してみますと・・・。

1.最近のレトロブームで、にわかに古い物に人気が出てきた。映画「ALWAYS三丁目の夕日」は、物語がナショナル「BX−275」という真空管ラジオからスタートする事もあって、映画を見た人が真空管ラジオを懐かしんで、オークションで入手する人が増えてきた。

2.今、真空管ラジオを懐かしんでいる40歳代〜50歳代の方々が、昭和30年代の幼少の頃に日常にあったラジオがmT管トランスレスラジオであり、現在でも比較的入手し易く、また現状でも音が出るラジオは半数位あるので、比較的初心者でも集め易いので、人気が出てきた。デザイン的にも特徴のあるラジオが多いのも、人気の秘訣であろう。

3.学研大人の科学真空管ラジオキットの発売で、昔のラジオ少年が復活し、オークションに参加する様になった。インターネット環境が安くなった事も要因であろう。ラジオ少年真空管ラジオキットも中高年の方々に人気だそうです。(これでは、ラジオ中年ではないか!・・・失礼!)

4.それに比べて戦前のラジオは、一部のマニアには人気であるが、正直言って直すのには多少の技術と部品が必要で、まだまだ敷居が高いので価格はそんなに高騰しない事が多いです。ただし、戦前のラジオでも、ラッパラジオカセドラル型ミゼット型などは高価になります。音が出なくても、インテリアに最適ですからね!僕も欲しいです!

5.いわゆる団塊の世代の方々の退職が始まり、退職後の趣味の1つとして、手にした多額の退職金で古いラジオを買いあさっている。(失礼!)

・・・といった要因で、真空管ラジオの価格が高騰し始めています。

 では、真空管ラジオはいったいいつ頃まで入手できるのでしょうか?オークションの取引数を考えると、仮にアンティークラジオのカテゴリーに毎日1,500点の出品が有ったとしましょう。その1/4が真空管ラジオであったとすると、1日375点ですね。1つのオークションは1週間程度出品されていますからその約1/7が1日当たりの取引数ですね。1日約54台です。1年だと約2,000台になります。オークションが始まって7年ですが、初期は取引数が少なかったでしょうから、5倍と考えて、約10,000台が今までオークションで売買されたと考えると、日本の残存する真空管ラジオのかなりの数が発掘された計算になります。もっとも全てがオークションで取引されず、骨董市や骨董店での販売も有るでしょうから、今後そんなに長くオークションで真空管ラジオが(適正価格で)入手出来るとは考えられません。こんな事を書くと、益々オークションの取引価格高騰へ拍車を掛ける事になりそうですが、今後の動向が非常に気になるところです。中には、預金するより真空管ラジオで投資運用した方が儲かると、妻に言い訳の口実で、ラジオを集めている方もいらっしゃる様ですが・・・。(僕は違います!)

 僕は現在まで、300台程度の真空管ラジオを修理してきました。他のインターネットで真空管ラジオの修理をやっている方々と合わせると、かなりの数の真空管ラジオを修理した事になります。日本の真空管ラジオの残存数の数パーセントになるのでは・・・?(ラジオ工房の内尾様は1,000台以上修理したとの事ですからね・・・)


 ・・・で対策として、

1.オークションで熱くなるのは止めましょう。まずはしばらく様子を見て、どんなラジオがいくら位なのか、相場を知ってから。

2.本当にそのラジオでなくてはいけませんか?同じラジオはそのうちまた出て来ます。高くなりそうだったら、早めにあきらめましょう!別の掘り出し物を捜しましょう。

3.外観と中身をよくチェックしましょう。改造されたラジオ、変にいじられたラジオは買ってから大変ですよ。外観は古そうなラジオでも、中身はトランジスターラジオなんてのも有ります。

4.自分で修理するのなら、まず腕に見合ったラジオから。

5.中古のマジックアイは、ほとんど光りません。現在、新品の明るく光るマジックアイは1本3,500〜5,000円と高価です。これも念頭に入れて置いてください。(マジックアイも僕が東京に住んでいた頃は、1本800円だったんですがね・・・。)

6.オークションの安い時期を狙いましょう。お盆の頃や年末年始は、帰省等で競合相手が少なく、安く落札できる場合が多いです。狙い目です!

7.いつも出てくる競合相手、たくさんのラジオを出品している出品者等の傾向と対策を取りましょう。特に競合相手は、この人はこの位の予算だとか、強気だとか、何時位に出てくるとか・・・。過去の落札評価も参考にしましょう!(僕は強気ではありませんので、お手柔らかに!)また僕も過去に、真空管をたくさん出品している方がとんでもない人で、嫌な思いをさせられた事があります。(ラジオ工房掲示板でも、掲示板荒らしが起きましたね!)要注意人物にはくれぐれもご注意!(現在はIDを変えて、また出品しています!)

8.真空管ラジオは、1人で何台も集めない様にしましょう!(爆)ラジオばっかりそんなに集めても聞くのは1台で十分です。家族の人達にイヤミを言われます。真空管ラジオは大きくて場所を取ります。邪魔になります!お金も掛かります。小遣いが減ります。電気代も掛かります!良い事は何も有りません!僕も最近はラジオは落札していません。何事も程々に!(笑)

・・・これでオークションに平和が訪れるかなぁ?


 最近のオークションを見て、つい最近のオークションでご存じの方もいらっしゃると思いますが、真空管約8,300本が80,000円からオークションに出ていました。父が集めたというコレクションだそうで、mT管が多かったみたいです。特に品番の記載もなく写真で判断して欲しいとの事でした。質問欄には、新規IDの方から、こんな記載もありました。

取り下げた方が良い。 2000万円くらいの価値があると思う。 なんでも鑑定団に出して下さい! 絶対に博物館に展示するべきです! もし、希少な真空管があれば更に価値が上がると思います。考え直した方が良い。

それで最終的には172件の入札があり、落札金額は何と、1,961,000円まで跳ね上がりました。1本あたり約270円ですね。そう考えると・・・?僕の所にも数千本の真空管の在庫がありますが、そんなに価値が有るとは思えないのですが・・・。価値観は人それぞれでしょうけど、皆様はどう思いますか・・・?

そう、いつもオークションで競合するIDのあなた、いつも僕のHPご訪問ありがとうございます!ちゃんとわかりますよ!お手柔らかに!(笑)

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